日本肺炎・日本新型コロナウイルスのデマ情報が拡散
Twitterなどで悪質なフェイクニュースやデマ情報が増えてきました。その中で最近特に気になったのが、「中国政府が新型コロナウイルスのことを日本肺炎と呼んでいる」という事実無根のニュースです。
この悪質なデマがSNSで拡散されるきっかけとなったのは、中国大使館が2月27日、公式サイト上に掲載した在日中国人に向けの文書でした。下記は実際に中国大使館が配信した文章です。
「日本新型冠状病毒肺炎疫情不断変化,我在日同胞対此高度関注」
(日本語訳:日本における新型コロナウイルスの状況は絶えず変化しており、非常に注視している)
一見すると何気ない文章ですが、この中国語の文章をある人物が「中国政府が今回の新型コロナウイルスの名称を【日本新型コロナウイルス】と名付けている」と誤読し、その誤読した内容を発信したのです。
《中国大使館が配信した実際の文章》
情報の発信元となったその人物とは、北京語の通訳をしていたと名乗る日本人男性。そのツイートが瞬く間に拡散され、Twitter上では「中国政府が新型コロナウイルスの名称に日本を入れることで責任転嫁をしている」、「肺炎の発生源を日本にしようとしている」という批判コメントが次々と投稿され、日中関係にも影響を及ぼしかねない深刻な事態となったのです。Twitter上では、「日本新型コロナウイルス」「日本肺炎」などのキーワードが独り歩きし、更なる炎上を招いています。
すでに火元となったツイートは削除されていますが、正直なところ、原文の中国語は通訳者なら間違えるはずもないレベルの平易な文章です。とは言え、中国語は日本語と比べ助詞が極めて少なく、語順・文型・前後の文脈から内容を理解しなくてはなりません。それを翻訳して、不特定多数の相手に公開するのであれば、注意深く原文を読み込む必要があります。ましてや今回は公的文章の翻訳。もう少し慎重に行うべきでした。
SNSで誰もが情報を発信出来る時代となった今だからこそ、私たちも世の中に溢れる情報を精査する能力を養うべきでしょう。