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中国一大プロジェクト、トイレ革命の現実!

中国のトイレと言えば、かつては壁などがなく、用を足すもの同士が顔を見合わせるいわゆる「ニーハオトイレ」を想像する方が多かったかと思います。その国の国家レベルを反映する鏡だとも言われるトイレの衛生状況。中国では2017年11月から習近平国家主席主導の下、トイレ環境を改善するための「トイレ革命」が始まりました。


約数千億円もの予算が投じられ、特に農村部などに多かったニーハオトイレや汲み取り式便所を改修。水洗トイレの導入を推し進めてきた「トイレ革命」。今年はさらに1000億円が投じられ、3万地域1000万世帯のトイレが水洗化されました。習近平政権の目玉政策としてスタートし、成果を上げていたかに思えたましたが、どうやらそうでもないようです。

 

今月、中国国営メディアが農村部でのトイレ革命の実態について潜入取材を行い、意外な事実を報じました。安徽省阜陽市の農村部でトイレ革命により3つの水洗トイレが設置されることとなりました。しかし、設置から2年経過しても誰1人、新しいトイレを使おうとしないというのです。

 

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《村の中にはプラスチックの箱を穴に置きこれをトイレと言い張るものもあったという》


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《2年前に建てられたトイレだが誰も使用していないため廃屋のようになっている》

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《トイレのすぐ横にあるマンホールを確認すると水道設備の道管が繋がっていないことが分かる》


メディアがこのトイレを確認すると、トイレが設置された建物には大量の蜘蛛の巣がはっていて、トイレの壁は崩壊寸前でした。村人の証言によると、トイレにはいくつかの換気口が設置されているのみで、臭いが充満しており、水道設備も敷かれていなかったといいます。

 

さらに衝撃の事実も分かりました。この村では幹部たちが、村のトイレを視察する政府関係者の目をごまかす為、村人たちに200元を配り、口裏合わせを行っていたのです。多額の予算を投じ始まったトイレ革命ですが、こうした実態を見ると、ただの形式主義だけが浸透してしまっているようです。国の威信をかけ始まった一大プロジェクトのこうした現実に、政府は今何を思うのでしょうか。