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間もなく台湾総統選挙、蔡英文の再選が濃厚か

第二次世界大戦後、共産党との戦いに敗れた蒋介石率いる国民党は、中国大陸を追われ台湾に逃れました。中国共産党は台湾統一に向け軍事行動を起こそうとしますが、ちょうどその時、朝鮮戦争が勃発。台湾は奇跡的に難を逃れます。その後、台湾は国連を追われるなど中国からのプレッシャーを受けながらも、中華民国として何とかその立場を保ってきました。そんな台湾ですが、今年は政治的に大きな変化を迎えるかもしれません。


台湾では1月11日に総統選挙が行われます。与党の民進党からは再選を目指す蔡英文が、野党の国民党からは政権の返り咲きを狙う韓国瑜(かん・こくゆ)が立候補しており、事実上の一騎打ちとなる模様です。

 


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《元旦に大統領選挙ついて演説した蔡英文総統》


そんな総統選を前に、台湾ではある法律が可決され、大きな注目を集めています。12月31日に台湾立法院が可決したのは「反浸透法」。外国の敵対勢力から国家の安全と主権を守ろうというもので、具体的には、外国政府・政党・組織・機関・団体などの敵対勢力による選挙運動やロビー活動、政治献金、社会秩序を乱す行為、選挙に関わる虚偽情報の拡散などを禁止するというものです。違反者には5年以下の懲役もしくは1億6000万円以下の罰金が科せられることになります。


この敵対勢力とは、まさに中国のことを指しており、大統領選挙を前に中国による水面下での選挙介入を警戒した民進党政権が同法の可決を急いだというわけです。一方、親中路線(中国との経済交流による経済成長を公約に掲げる)の国民党は同法案に激しい抵抗を示していました。


しかし、今回の大統領選挙について事前のアンケート調査を実施したところ、蔡英文を支持する声が多く、蔡英文総統の再選が濃厚であることがわかりました。その最大の理由は昨年香港で発生した大規模デモだと見られます。


実は昨年春頃まで、蔡英文政権は再選が厳しい状況でした。対中強硬路線の結果、中国からの観光客が激減するなど、台湾の観光業は蔡英文政権成立以降、致命的な打撃を受けていました。そんな中、香港大規模デモが発生したのです。


台湾でも、デモ隊への強硬な姿勢を示した香港当局やそれを支持した中国政府への危機感が強まり、その結果、対中強硬路を堅持する蔡英文政権の再選を希望する声が高まったのです。


蔡英文は先日、中国が主張する台湾の一国二制度を強い口調で否定するなど、改めて対中強硬路線を示しました。中国も台湾への軍事攻撃まで示唆しており、今年は台中関係に大きな変化が見られるのではないでしょうか。