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台湾総統選、蔡英文が間もなく勝利宣言、今後の課題は?

台湾では今日総統選と立法委員選(国会議員に相当)が行われ、日本時間の17時に投票が終了しました。現在、開票作業が行われており、日本時間21時の時点で現職の蔡英文(民進党)が782万票と、政権奪還を目指す韓国瑜(国民党)の525万人に約100万票の差をつける圧倒的優勢となっており、蔡英文氏の再選が濃厚となっています。今回はおよそ1万7000カ所で約1930万人の有権者が投票しました。


これまで台湾統一を強く主張してきた中国習近平政権にとって、今回の選挙結果は今後の政権運営に大きな影響を与える指標となるため、中国政府は今回の総統選の行方を注視してきました。すでに、現職の蔡英文(民進党)の再選が濃厚となっていますが、対中強硬路線を採る蔡英文の勝利は中国政府にとって、厳しい結果と言えます。

 


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《間もなく勝利宣言を行う蔡英文総統》


蔡英文氏(民進党)はこれまで、「台湾の主権を守り、中国の主張する一国二制度は受け入れない」と、中国に対する強硬路線を堅持してきました。ただその一方で、ここ数年は中国による経済的圧力を受け、失業率の上昇や観光業の衰退が深刻化。経済回復が課題となっていました。現高雄市長で、対立候補の韓国瑜氏(国民党)は、中国との関係を改善し、中国と経済交流を行うことで台湾の景気を回復させるとし、それを公約に掲げてきました。


蔡英文政権の支持率は昨年春頃までわずか20%と非常に低く、今回の総統選では国民党が政権を奪還するという見方が有力でした。経済の低迷に蔡英文政権への批判が高まっていたのです。ところが、香港で発生した大規模デモのより、台湾市民の間で「今日の香港は明日の台湾である」という危機感が強まります。こうして市民の間で対中国強硬路線の蔡英文政権を支持する声が高まっていったのです。


全投票数の約60%を獲得し、間もなく勝利宣言を行う見通しの蔡英文氏。彼女の再選によって今後、台湾にどのようなことが起こるのでしょうか。


予想されるのは、中国が更に経済的圧力を強めていくということです。中国からの観光客も更に減少するでしょう。このため、蔡英文政権の最優先課題は経済の立て直しになります。ASEANやインドとの経済促進、IT経済特区創設による外資企業の誘致、中国へ進出している台湾企業の呼び戻しなどによって経済の立て直しを行っていくとされています。


中国・香港・台湾の関係は今年、大きな転換期を迎えようとしています。不確定要素も増えている中華圏。そうした変化は決して他人事ではなく日本の政治経済にも大きな影響を与えるものとなるでしょう。