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中国人民解放軍、民間部隊の創設へ

先日もお伝えした通り、中国人民解放軍とインド軍はカシミール地方の国境を巡り、対峙を続けてきましたが、今週小規模な衝突を起こし、インド軍に多数の死者が出ていることが報じられています。


そんな中、中国人民解放軍では新たな動きが見られています。今週、インド軍との衝突を起こした人民解放軍チベット軍区は、大規模な実弾演習を行いました。インド軍を牽制すると共に、中国国内向けに「強い中国」をアピールしたい狙いがあります。
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さらにチベット軍区では、インド軍との衝突をきっかけに、5つの新たな部隊が創設されたことが報じられています。


今回、新たに創設された部隊は、

 

「雪鷹空中巡邏(じゅんら)隊」

 

「雪鴿極地通信隊」

 

「雪狼極限攀登(はんとう)隊」

 

「雪狐高山快反隊」

 

「雪犬高原抗撃隊」

 

の5つの特殊部隊です。
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《民間部隊創設のおける入隊式の様子》


特に注目したいのが、これらの部隊は全て民間で構成されているという事です。「雪犬高原抗撃隊」部隊は、格闘の専門部隊で、人民解放軍の隊員ではなく、中国国内の格闘技チームのメンバーによって構成される部隊なのです。


「雪鴿極地通信隊」は、情報解析などを行う部隊で、中国大手通信会社のチャイナモバイルの社員によって構成されます。その他、3つの部隊も全て民間企業や団体によって構成されているのです。
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《男性のゼッケンには 民兵の文字が確認できる》

 


今回、チベット軍区限定で導入された今回の試みですが、隣国である日本にとっても非常に注目すべき動きと言えるでしょう。中国人民解放軍は、中国国家の軍隊ではなく中国共産党が所有する軍隊です。そのため、こうした新隊構成の決定も、党内のトップダウンで行うことができるため、インド軍との衝突からわずか数日で、5つの民間部隊の結成が可能となった訳です。


今回の民間部隊結成の動きは、対外的に「有事の際は中国では民間をも利用し、軍事行動を起こすことが出来る」という意思表示であるとも考えられます。中国は現在、日本に対し尖閣諸島の領有権の主張や、東シナ海における進出の動きを強めています。


民間人に対する軍事行為が非常に厳しく制限される日本の自衛隊の特徴から、今後中国では尖閣諸島専門の民間部隊創設の動きも現実的になるのもしれません。