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上皇陛下と中国人教授の交流①

日本では今月から新しい元号“令和”となり、平成の時代は終わりを告げました。

 


世界各国のメディアも天皇陛下退位のニュースを大きく報じ、新しい令和時代の訪れをトップ扱いで伝えています。

 


中国では1992年、中華人民共和国の建国以来、初めて中国を訪れた日本の天皇陛下が退位されるということで、国営メディアなどが同ニュースを報道。中国外交部(外務省に相当)も記者会見の場で、天皇陛下日中関係の発展に大きく貢献されたと謝意を述べており、 平成の天皇陛下が中国政府にとっても特別な存在であったことが分かります。

 


退位され上皇となられた明仁上皇陛下は魚類学者としての顔もお持ちで、日本を代表するハゼの研究者でもあります。実は上皇陛下は中国海洋大学のある中国人教授との間に、学者として40年に渡る交流を続けられてきたというエピソードがあります。今回はこのエピソードについてご紹介したいと思います。

 


中国の海洋系大学の名門として知られている上海海洋大学で長年、教授を務めた伍漢霖元教授は中国のハゼの研究者として知られている人物です。


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伍教授は1956年に大学を卒業すると、中国国内の大学で長年にわたり魚類に関する研究を行ってきました。そして70年代になると、中国に生息すらハゼの研究を始めます。しかし、このハゼ。複雑な生態から非常に研究が難しいことで知られ、世界中に2000以上もの種類が生息しているにもかかわらず研究者も少ない魚でした。

 


そんな中、伍教授は1964年、当時皇太子様だった陛下がハゼの研究していることを知ります。そしてそれから13年後の1979年、日中が国交を正常化したこともあり、伍教授は所属していま中国の大学を通して、陛下にハゼの研究に関する学術的な質問を記載した手紙を送ることにしました。

 


すると、なんとその2週間後、陛下から手紙の返事が送られてきたのです。そこには、伍教授の質問事項に関する回答のみならず、同じハゼの研究者として今後も意見を交換していきましょうというお言葉まで添えられていました。実際、陛下と伍教授はその後、40年近くにわたり、手紙を通じてお互いにハゼ研究に関する資料を交換したり、研究内容に関する議論を行うことになるのです。