周来友ブログ

周来友オフィシャルブログ

DVによる悲惨な事件によって、ようやく中国でも動きが

「いじめ」、「体罰」、「万引き」、「DV」、「誹謗中傷」と言った名称で、毎日のように報じられる社会問題。しかし、いじめや体罰、DVは暴行罪・傷害罪というれっきとした犯罪行為です。また、万引きは窃盗罪、誹謗中傷は名誉毀損罪に当たります。こうした犯罪行為の中でも中国社会で今、大きく注目を集め、厳罰化を求める動きが高まっているのが家庭内暴力です。
 
そのきっかけとなったのは、今月1日に報じられたある事件でした。中国四川省に暮らす30代の女性が、離婚した前夫にガソリンをかけられた上に火を放たれたのです。女性は意識不明の状態で地元の病院に緊急搬送されましたが、全身の90%に重度の火傷を負っており、2週間後に死亡しました。前夫はすでに逮捕され、現在取調べが行われています。
 
《DVの末、亡くなった女性》
 
今回の事件について中国メディアは、亡くなった女性が長期間に渡り逮捕された前夫から激しい暴力を受けていたと報じました。亡くなった女性の遺族によると、2人は夫の家庭内暴力が原因で離婚。その後、元夫に強要され再婚しましたが、やはり暴力が原因で離婚していました。
 
こうした事件のニュースを見ると、亡くなった女性はなぜ暴力夫から早く離れなかったのだろうと疑問に思う人もいるかもしれません。しかし、日常的にDVを受けていると、暴力に心を支配され、正常な判断が出来なくなってしまうことが多いのです。
 
今回夫の家庭内暴力で亡くなった女性については、中国国営メディアの女性アナウンサーが、「家庭内暴力は家庭内の問題として解決できるものではない。家庭内暴力はれっきとした犯罪行為である。一切の言い訳も通用しない。周囲の人々や行政、司法機関が積極的に介入していれば、今回の事件は防げたのかもしれない。女性を暴力から守ることは社会全体で取り組むべき課題である」と強く訴え、国営メディアとしては異例の反応を示しました。
 
 
 
そして中国では今、こうした考え方が一気に広がりつつあります。有名女優の李氷氷は自身のSNS上で「結婚は愛の結晶であり、暴力は犯罪行為です。決して暴力による脅迫によって強制されるべきではない」と声明を発表すると、SNS上に家庭内暴力を受けてきたと思われる女性たちが相次いで賛同のコメントを寄せたのです。
 
皮肉なことに、今回の悲惨な事件が起こったことで、中国の社会がようやく家庭内暴力という犯罪行為に目を向けるようになりました。いずれにしても、家庭内暴力は犯罪であり、悪いのは暴力を振るう相手です。万が一、今、この記事を読んでいる方の中に家庭内暴力で悩んでいる方がいれば、すぐに行政などに相談しましょう。