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アメリカが中国スパイに対する注意喚起動画を公開

先日、中国人民解放軍東部戦区の公式SNS上に、米中開戦を意識したある動画が投稿されました。
その動画とは、中国人民解放軍の戦闘機がグアムにある米軍基地を爆撃するシミュレーション映像でした。
 
 
 
これに対抗する形で、アメリカもすぐに連邦捜査局(FBI)と国家サイバーセキュリティー・センター(NCSC)が共同制作した26分間のショートムービーを公開しました。
 


 
《The Nevernight Connection》というタイトルで公開されたそのショートムービーですが、内容はアメリカの軍関係者が、中国人の諜報機関の男にスパイとして利用されてしまう、というものです。東南アジアの海洋研究所に勤める中国人研究員の依頼を受け、無人海底調査機に関する文章の作成を行うことになった米海軍所属のアメリカ人男性が、文書作成のため海軍時代の同僚などから入手した最新の情報を中国人研究員に渡してしまうのです。結果的に、この男性の行為はアメリカ政府からスパイ行為と認定され、懲役20年という判決が下されるという内容でした。
 
スパイ映画のような内容の動画ですが、実はこのショート動画は実際に発生した事件がモデルとなっています。2017年に起きたケビン・マロリー(Kevin Mallory)事件です。当時、アメリカCIAに所属していたケビン・マロリーは、2017年に上海を訪れた際、中国の情報機関関係者にアメリカの軍事機密などを渡し、見返りとして約300万円を受け取っていました。ケビン・マロリー被告は昨年5月、アメリカの裁判所から20年の禁固刑を言い渡されています。
 
アメリカ当局はこれまで、情報機関の職員に対し、中国諜報機関のスパイ行為に巻き込まれないよう注意喚起を行なってきましたが、今回のように一般向けに動画を作成し公開したことはなく、異例の事態と言えるでしょう。
 
現在、半導体チップなどを自国生産へ切り替えることを国の目標としている中国は、先端技術の情報を得ようと、アメリカなどの先進国の技術者獲得に動いてます。今回の動画公開には、こうした一般人技術者に注意を促す意味合いもあると考えられています。