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中国建国70周年の日本の祝辞を国営メディアが放映、その真意とは

安倍首相は今月26日、間もなく建国70周年を迎える中国に向け、中国語でお祝いのメッセージを述べた動画を公開しました。中国国営メディアなどは、今回の安倍首相の動画を全国放送で大きく報じるなど、異例の対応を見せています。

 

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【大家好(みなさんこんにちは)。安倍晋三です。中華人民共和国が建国70周年を迎えられたことに対し、日本国政府および日本国民を代表し、心から祝意を表します。6月のG20大阪サミットでは日中両国が成功に向けて協力し、G20としての力強い意志を大阪首脳宣言を通じてああ世界に発信することができました。サミットに先立ち行われた日中首脳会談と夕食会では、来春に習近平国家主席国賓として日本にお迎えすることについて首脳間で一致し、日中新時代を切り拓いていくとの決意を共有することができました。日中両国はアジアや世界の平和と繁栄に共に大きな責任を有しています。両国が地域や世界の課題に協力して取り組み、国際社会への貢献を共に進めることは、両国の新たな未来の姿を築くことにつながると確信しています。最後に、日中関係のさらなる発展、ご列席の皆さまのますますのご健勝をお祈り申し上げまして、私の祝辞といたします。ありがとうございました。谢谢(ありがとうございます)】

 

一部割愛しましたが、中国メディアは今回の安倍首相の動画メッセージを好意を以って伝えています。では、中国はなぜここまで安倍首相への態度を一転させたのでしょうか。そこには、以前から指摘している通り、アメリカとの貿易摩擦が大きく関わっています。中国にとって日本は、アメリカ・EUに次ぐ世界第3位の貿易相手国となっており、非常に重要な輸出先となっているのです。 

 

これまで、歴史問題を理由に厳しい態度を見せていた中国が、ここ最近、日本に対する批判の矛を収め、友好的な姿勢を見せているのは、まさにアメリカとの貿易交渉がうまくいっていないからにほかなりません。さらに、香港のデモや人権問題なども解決しておらず、中国は内政的にも対外的にも行き詰まっています。そのため、経済的にも地理的にも密接な関係のある日本との関係を強化したいとの思惑があるのです。戦後、悪化と改善を繰り返してきた日中関係。その真価が問われるのは、米中関係が改善した時でしょう。