周来友ブログ

周来友オフィシャルブログ

中国でA型肝炎が流行か

新型コロナウイルスの猛威が世界に広がる中、中国では新たな感染症が報告されています。本日付で中国メディアは、現在中国の東北部を中心にA型肝炎の患者数が増加していることを報じています。


感染が特に多く報告されているのは遼寧省大連市と丹東市で、地元当局は新型コロナウイルスの予防と同時に、A型肝炎への感染予防を呼びかけています。大連市の衛生健康当局によると、A型肝炎の感染源となっているのは、魚介類の可能性が高く市民に向け、魚介類を食べる際には必ずよく熱を通してから食べるよう呼び掛けています。当局はこれまでに具体的な感染者数などを発表していませんが、過去5年の中で最も患者数が多いことを明らかにしています。


中国では過去にA型肝炎が大流行した歴史があります。上海市では1988年にA型肝炎が流行し、約30万人が感染、31名が死亡するという事件がありました。原因は市民が食べていた食用の貝でした。感染が蔓延した原因は貝が人間の便に含まれていたウイルスを吸収し、それを人間が生で食べ、A型肝炎の感染が拡大していったのです。当時、A型肝炎の特効薬は中国になかったため、漢方薬が有効であるというデマが流れ、中国国内で“バンランコン”の需要が急激に高まりました。

f:id:zhoulaiyou:20200423151927j:image
新型コロナウイルス以上の患者数を数えた当時の上海では病室不足も課題となった》


当時の中国では上海の人々に対する差別的な動きも見られ、当時の最高指導者・鄧小平が上海で春節を過ごすなど、上海に対する風評被害の回復をトップ自ら行うという異例の場面も見られました。


上海ではこのA型肝炎の大流行をきっかけに、市民の食の衛生観念の向上が図られ、感染の原因となったモガイの販売は現在でも禁止されているのです。今回の新型コロナウイルスが大都市である上海でほとんど広がりを見せなかった背景には、過去に起こった肝炎の大流行の教訓が生かされているからなのかもしれません。
 f:id:zhoulaiyou:20200423151937j:image