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7月7日から大学入学試験が開始、替玉受験防止へ

中国では今月7日から「全国統一考試」と呼ばれる大学の入学試験が全国で一斉に行われます。日本の受験者数が65万人前後なのに対し、中国ではここ数年、受験者数が毎年1000万人を超えており、まさに国の一大イベントと言えるでしょう。


今年は新型コロナウイルスの影響により、試験会場で感染拡大防止策が講じられ、受験生は厳戒態勢の中、試験にうどむことになります。

 

そして、コロナ以外で今年、特に警戒されているのが「替え玉受験」です。その背景には、今年に入り、SNSなどで過去に替え玉受験に関わったことがあると告白する投稿が多かったことがあります。


山東省当局は6月24日、1997年に行われた大学入試の不正行為が発覚したとして15名の処罰を発表しました。


きっかけは、ネットに投稿された文書です。97年の「高考」に参加した当時高校生の女性が投稿した文章によると、この年の入学試験の点数が低かった彼女は1年間の浪人を経て翌98年に再受験。その結果、短期大学へ進学しました。

 

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《所属していた高校の教師によって勝手に受験票を利用された被害者の女性》


ところが、97年に彼女が使用した受験票は、通っていた学校の教師によって改竄されていたのです。この教師は彼女の受験票を使い、自分の娘を北京市内の大学に通わせていました。教師は、浪人を決めた女子生徒の点数が高かったことから、密かに受験票などに記載された住所や保護者名などを改竄。この女子生徒の名義で自身の娘を北京市内の大学に入学させたのです。

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《事件に利用された被害女性の高校卒業証書》


そして今年6月に事件が発覚。最終的に、この事件に関わっていた当時の学校関係者や役所職員、警察当局者など15名が逮捕されました。日本では考えられないような事件ですが、当時の中国の大学受験は、基本的に紙資料で処理されていたため、こうした信じられない事件も珍しくなかったのです。


山東省政府は大学試験に向けた取り組みについて今月、記者会見を行い「2006年以前はID確認をするにも技術的な限界があったことなどから、これまで替玉受験など数多くの不正行為が報告されてきた。今年はハイテク技術を使って不正入学を防止していく」と、発表しています。


実際、今年の大学受験では、AIを利用した顔認証システムが導入される他、受験生は身分証、戸籍、携帯電話番号などの細かな個人情報も求められることになります。


中国では昨年にも広州市で替玉受験に関わった186名が逮捕される事件が発生しています。不正行為対策が強化された今年の大学入試。果たして「替玉受験ゼロ」の目標は達成されるのでしょうか。