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中国核研究施設の職員が大量離職、一体何が?

新型コロナウイルスの拡大直後から国内情勢が不安定となっている中国。新型コロナウイルスの発生当初、中国政府の二転三転する説明に、国民から厳しい声が寄せられていました。さらに経済的補償の具体策を講じない政府の対応に不満が高まっていることも事実です。これに、洪水被害の拡大やアメリカとの関係悪化、世界的なファーフェイ製品の排除、香港問題、ウイグル人の人権問題などが加わり、国内外の中国政府に対する非難はさらに強まりつつあります。


国内情勢の不安定さは、中国国務院直属の科学研究機関・中国科学院にも及んでいるようです。香港メディアによると今月15日、中国科学院の研究員たち約100名が集団辞職していたことが分かりました。

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記事によると、中国科学院が管轄する合肥市物質科学研究院では、研究所の研究員たちと、警備などを担当していた保安部門との間で衝突が発生していたといいます。同研究所の関係者の話では、これまで研究所では核開発に関する機密資料や院内のネット環境の管理を研究所の職員が主体となって行ってきましたが、最近になり保安部門の干渉が強くなっていました。そして今月中旬、保安部門の警備員が核関連の研究棟の鍵を壊すなどの暴挙に出た上、女性研究員と小競り合いになっていたというのです。


研究員と保安部門との間の対立が激しさを増していた中、同研究所ではもう一つの問題も起こっていました。上層部の指導により、今年5月から研究員や職員が残業やスポーツイベントへの参加を強制されていたというのです。これも集団離職を後押ししたといいます。こうした状況を受け、中国国務院は現地に職員を派遣し、事態の鎮静化に動き始めました。


国家機関である中国科学院の内部情報がここまで大々的に外部に漏れるということ自体、これまででは考えられないことで、何者かが意図的に情報を流している可能性が高いと言えるでしょう。核研究施設の職員たちによる今回の動きは、不安定な国内情勢が国家機関にも影響を及ぼしている証なのかもしれません。