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台湾を巡る米中関係悪化、間もなく安定か?

米中関係の対立が深まるのに比例し、悪化している中台関係。中国は台湾海峡で大規模な軍事演習を実施したりと、まるでかつての台湾海峡危機を彷彿とさせるような態度を示すようになってきました。
 
そんな中国に対する外交カードとして、アメリカも台湾の国家承認に言及することが多くなっています。
 
今月13日、アメリカのキース・クラック国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)は自身のツイッターを更新、ポンペオ国務長官が、アメリカ政府が今後台湾との交流を制限なく行うと発言したことに伴い、台湾を事実上“Free Country status”、つまり自由国家として扱う方針であることを明らかにしました。台湾公営メディア「フォーカス台湾英語版」が報じています。
 
《クラック次官(左)と蔡英文(中央)》

アメリカ政府高官のこうした動きに対し、中国外交部は14日に行われた記者会見で、「アメリカは中国との間で締結している“一つの中国”の原則に違反している。台湾は中国の不可分の領土である。これは国際社会が認めている事実だ。アメリカは台湾問題を口実にした政治操作をやめ、米台関係者の往来を即刻停止すべきだ」と強く非難しました。
 
 
 
 
台湾を牽制カードととして中国を挑発するアメリカですが、緊迫した米中関係も間もなく落ち着きを取り戻すと見られています。
 
間もなくバイデン新政権が誕生するアメリカ。大統領選敗北直後からトランプ現政権は台湾に頻繁に言及するようになり、大使館に当たる駐米台北経済文化代表処の名称を「台湾経済文化代表処」に変更する動きを見せたり、先日話題となった国連大使の台湾派遣を推し進めたりしてきました。ところが、これらはいずれも実現しておらず、今月予定されていたポンペオ国務長官のベルギー訪問さえも突然キャンセルとなっているのです。 
 
その背景にあるとみられているのが、バイデン新政権で国務長官に内定している“アントニー・ブリンケン”次期国務長官の存在です。ブリンケン次期国務長官が政権移譲に備え、外交活動を全て停止するようポンペオ現国務長官に圧力をかけているという見方が強まっているのです。国連大使の台湾訪問などが取り止めになったのも、ブリンケン次期国務長官の外交方針によるところが大きいと指摘されています。
 
《ブリンケン次期国務長官

こうしたことから、バイデン次期政権の対中姿勢は比較的安定志向になると推測できるのではないでしょうか。コロナ禍の今、互いを自国の経済成長に利用したいと考えているであろう米中両国。その関係は今後どうなっていくのか。その行く末を見極めようと、今月20日に新大統領となるバイデン氏の対中方針表明を、世界が固唾をのんで見守っています。