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LGBTを理由に学校退学、職を奪われた学生が司法の場へ

2019年5月、台湾で同性婚が合法化しました。この出来事は歴史的快挙として世界的にも大きく報じられ、台湾社会が多様性を重んじる非常に開かれた社会であるということを国際社会に知らしめるきっかけともなりました。実際、台湾の現IT担当大臣であるオードリー・タン氏もLGBTであることを公表しており、大きな活躍を見せています。
 
一方、中国ではLGBTに対する理解は進んでおらず、LGBTであることを理由に退学を促されるという信じられない出来事も起きているほどです。 
 
中国メディアによると、幼稚園教諭の資格を取得しようとしていた男子学生が同性愛者であることをカミングアウトするや、学校側から「児童への悪影響」を理由に退学を言い渡される事件が起きました。
 
事件の発端となった出来事は2019年12月18日に起きました。この日、北京市内のイベント会場では幼稚園教諭を目指す学生たちによる討論会や発表会などが開催されていましたが、このイベントに参加していた17歳の男子学生が、700人の参加者を前に舞台上で自分が同性愛者であることをカミングアウトし、同性愛に対する社会的な差別意識を変えていきたいと自身の思いを語りました。
 
 
 
 
同性愛に対する理解が進んでいない中国では勇気ある発言だったのですが、この2日後、学校側に呼び出された男子学生は8名の学校職員に取り囲まれ、自主退学をするよう迫られたというのです。メディアによると、この学校では以前も同性愛者だった学生が学校側から退学を強いられていました。
 
そしてこの男子学生も、職員からの圧力を受け、退学届に同意せざるを得なくなり、2020年1月2日、学校を追われる事となってしまったのです。学生は今年1月SNS上で、学校側に慰謝料と謝罪を求める裁判を行うことを公表しました。
 
《メディアの取材に答える学生》 
 
今回の報道について学校側は「同性愛者の教諭が児童と接することになれば、児童の心身に悪影響が出る恐れがあるため仕方がなかった」と信じられない回答をしています。
 
中国では最近まで法律で「同性愛は精神病の一種である」とみなされており、同性愛者は精神病院に入院させられていました。そうした背景もあり、LGBTへの理解が驚くほど遅れているのです。LGBTであることを理由に学問の自由だけでなく、将来の仕事まで奪われてしまった学生。彼の主張が司法の場で認められることを祈るばかりです。