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中国の大学教科書「同性愛は精神障害」と表記し裁判へ

LGBT先進国である台湾では昨年5月、最高裁に当たる大法院で出された「同性婚を人間の権利として認めるべきである」との判決に従い、同性婚の婚姻届の受理が開始され、これまでに約4000組のカップルが正式な夫婦として認められてきました。


一方の中国では、世界最大の人口を抱え、またLGBT人口も世界最大約7000万人を超えていることが伝えられてきました。ところが中国では、LGBTに関する対応が大きく遅れており、20年ほど前まではLGBT精神障害とみなされており、同性愛行為は犯罪として処罰の対象となっていました。


2001年にようやくLGBT精神障害の項目から削除されましたが、それでも現在に至るまでLGBTに対して、法的な権利が認められているとは言えない状況が続いてきました。


こうした中、今中国で開始された裁判に大きな注目が集まっています。今月28日、中国広州市の裁判所では、大学で使用されている教科書の中に「同性愛は精神障害である」という記述があり、この訂正を求め、女子大学生が教科書の出版元である出版社を訴える裁判が始まったのです。


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《実際に使用されてきた教科書》


地元メディアによると、この教科書は中国国内の大学で「大学生の心理健康教育」という科目の中で使用されてきたと伝えています。出版社を訴えた女性によると、問題の教科書は2016年、当時大学2年生だった際に受講した授業で使用されていたと言います。この時、女性は出版社に対し、内容の修正を求めましたが翌年も修正がされないまま、同じ教科書が使用されていたことから、2017年に裁判所に修正を求め訴え出ていました。裁判所は3度に渡り裁判開始の延期を行ってきましたが、今回ようやく裁判が開始されることとなったのです。


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《教科書の該当箇所と裁判の受理表》


世論の大きな関心を集めており、その結果に注目が集まりますが、もし女性の訴えが認められないことになれば、世界的な流れから大きく反れることとなり国際社会から更に厳しい非難が向けられることになるのではないでしょうか。