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ファーウェイを排除するアメリカ、iPhoneが大好きな中国

ご存知のように米中間の対立は日に日に激しさを増しています。アメリカ政府は同盟国にファーウェイ製の5G通信機器を採用しないよう呼びかけてきましたが、このほど国内で中国製ショート動画アプリ・TikTokの利用を禁止するなど中国に対する圧力を強化しています。

一方、中国政府はアメリカ側のこうした動きを強く非難、米中による新たな冷戦体制が出来上がりつつあります。


中国国内では市民レベルでも反米感情が悪化していると報じられてきましたが、意外にもスマートフォン市場では市民の素直な反応が反映されているようです。


米アップル社がこのほど発表した決算情報によると、今年第三期(3月29日〜6月27日)同社の営業売上は前年比11% 増の597億ドル、営業利益は113億ドルに達しました。

 

地域別の売上を見ると、アメリカ国内は270億ドル、ヨーロッパは142億ドル、中国地域は93億ドル(昨年92億ドル)、日本は50億ドル(昨年42億ドル)でした。


意外だったのが、中国地域での売上です。昨今の米中対立の悪化で、アメリカ企業であるアップル社の製品は売上が落ち込むと予想されていたにもかかわらず、逆に昨年より1億ドルも増加したのです。


愛国主義から、中国の人々はiPhoneから国産化メーカーであるファーウェイやOPPO 、シャオミなどに流れることが予想されてきましたが、iPhoneの売上は好調を維持しました。その背景には、iPhone11シリーズとiPhoneSE (第2世代)の存在が大きかったことがあるでしょう。

iPhone11シリーズは超高性能カメラを搭載する一方、iPhoneXRより価格を抑え、iPhoneSEは低価格でありながら「A13Bionicプロセッサー」を搭載したことで、中国でも受け入れられたのです。

 

また新型コロナウイルスの影響で中国でも巣篭もり人口が増加し、ネットを使った在宅勤務やスマホゲーム、ネットショッピングなど、スマートフォンを多く使用する生活スタイルが主流となりました。その結果、スマートフォンの買い替え需要も高まり、iPhoneの売上を後押ししたのです。


とは言えアメリカがファーウェイ製品の排除を進める中、中国政府がiPhoneを排除しようとしないのはなぜでしょうか。それは、すでにiPhoneが中国社会に浸透していることに加え、その製造過程で中国にも大きな経済的利益をもたらしているからと言えるでしょう