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インド人兵士が地雷で死亡、標高4000メートルで中印戦車が対峙

今年に入り国境を巡る対立が激化している中国とインド。今年6月15日、カシミール地域の国境で起きた中国人民解放軍とインド軍の小競り合いが、軍事衝突に発展。インド軍兵士が20名以上死亡する最悪の結果となりました。約半世紀に渡り、同地域では国境線を巡る対峙が続いてきましたが、戦闘行為が発生したことはありませんでした。それが今回の戦闘で関係が急激に悪化することになったのです。
 
《対峙する中国とインド兵士》

そんな中、インド兵士が再び死亡する事件が発生し、両国に緊張が走っています。今月2日、イギリスメディアが報じたところによると、ヒマラヤ山脈中印国境付近にあるパンゴン湖周辺で、インド特殊部隊に所属するチベット系インド人(53)の男性が、地雷の爆発によって死亡していたことが明らかになりました。
 
《死亡したインド兵士》
 
男性は、インド特殊国境部隊(SFF)に所属するゲリラ部隊員でした。同部隊の隊員は、主にチベットから亡命してきたチベット族の人々によって構成されており、3500名程度が所属しているとされています。このため、今回死亡した男性も、チベットからインドに亡命し、隊員となった可能性があると考えられています。
 
今回、男性を死に至らしめた地雷が、インド軍のものなのか中国軍のものなのかはまだ分かっていませんが、少なくとも中印国境紛争が今後さらに激しくなることは間違いないでしょう。
 
そうした状況を見据え、中印両国は国境付近のスパングール湖周辺に戦車を配備、互いを射程圏内に捉えた両者の睨み合いが続いています。こうした状況を受け、米トランプ大統領は今年5月、両国の仲介役を務める用意があると表明、さらにアメリカに対抗する形でロシアも仲介役に手を挙げました。標高4000メートルで繰り広げられている中印国境紛争に、米露がこぞって干渉を始めようと動いているのです。
 
一方、インド国内では、中国に強硬策を採らないモディ首相に批判が高まっていました。そこでモディ首相は6月以降、報復措置として中国発の動画アプリ「TikTok」、メッセージアプリ「WeChat」「Weibo」など人気アプリの利用を禁止する措置を行なってきました。また今回インド兵が死亡すると、さらに追加で「Alipay」「Baidu」「Youku」といった中国アプリの使用禁止も発表しました。
 
インドは中国とほぼ同じ約13.5億の人口を抱えています。このため、同国は中国にとっても貴重な国際市場の一つでした。そのインド市場を喪失したことは、中国経済にとっても大きな打撃となるでしょう。中国の軍事的圧力に対し、事実上の経済制裁で対抗するインド。両国の緊張はしばらく続きそうです。