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ノーベル文学賞に素人の日記がノミネート?

今年も残すところ後3ヶ月ほどとなり、すっかり秋めいてきました。そして、この時期になると気になってくるのが“ノーベル賞”です。来月5日~12日、医学・生理学賞・物理学賞・化学賞・文学賞・平和賞・経済学賞の7つの分野での受賞者が発表されることになっています。
 
そんな中、中国国内では、ノーベル文学賞の候補として、ある中国人女性の日記が候補になるとの予想がなされています。中国で賛否両論を巻き起こし、海外でも大手メディアに報じられたその日記。一体、どんなものだったのでしょうか。
 


女性の名前は“方方(ファンファン)”。彼女は新型コロナウイルスの影響で武漢がロックダウンされた2ヶ月間の生活をブログに綴り、その後「武漢日記」というタイトルで書籍を発売しました。日本でも今月9日、河出書房新社から日本語版が発売されました。
 
 
 
今年1月末から中国のネット上で公開されていたこのブログですが、単なる個人の日記という範疇を超え、当時武漢で何が起こっていたのかがリアルに書き記されたノンフィクション作品とも言える内容となっています。ブログには、新型コロナウイルスにより命を落とした人々、物流がストップしたことで起きたマスク不足や食料品不足、医療現場の悲惨な現状などが記されており、当時、武漢の逼迫した状況を知ることができなかった中国の他地域の人々や、海外の人々にとっては貴重な情報源ともなっていました。
 
その一方で、中国国内ではこの「武漢日記」の発売が依然、見送られています。その理由は、間接的に新型コロナウイルスへの対応を誤った中国政府への憤りを表している、ともとれる表現が含まれていたためです。アメリカ、 イタリア、 ドイツなど世界15か国で発売されることとなったこの武漢日記。本職の作家ではない一般市民によって書き記されたこの日記がノーベル賞候補になれば、それ自体、異例の出来事と言えるでしょう。いずれにしても、当時武漢で何が起こっていたのか、現地の人々がどのような生活をしていたのかを知る貴重な歴史的作品として、後世に語り継がれることになるかもしれません