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中国、いよいよコロナワクチン外交を展開か

12月2日、参院本会議では新型コロナウイルスのワクチンの接種を無料とする改正予防接種法が可決されました。こうした一方、お隣の中国では今年7月から医療従事者に向けたワクチンの緊急接種が開始されてきました。新型コロナウイルスのワクチンに世界の注目が集まる中、中国国務院は本日31日に記者会見を開き、ワクチンの接種について価格面での方針を発表しました。
 
会見に同席した国家衛生健康委員会の担当者は、全国民に対し無料で接種を行う方針であることを発表し、今後一般市場や海外に向けたワクチン価格については、大規模生産を行い可能な限り価格を下げていくと発表しています。


実はこの会見には中国外交部(外務省に相当)の担当者も出席していました。外交部の担当者はコロナワクチンについて、「中国は積極的に様々な方法で発展途上国に向け、コロナワクチンの提供を行っていく。無償援助での提供も予定している」と、今後積極的に発展途上国を中心に“コロナワクチン外交”を展開していくことを明らかにしたのです。
 
中国はこれまでに、アラブ首長国連邦バーレーン・アルゼンチン・ペルー・ブラジル・インドネシアなどでコロナウイルスのワクチンの臨床試験を行ってきました。アラブ首長国連邦バーレーンでは、中国産コロナワクチンの認可が間もなく承認されることとなっているのです。
 
中東・アジア・南米などでは、中国産ワクチンを使用するか、米産ワクチンを使用するか大きく選択肢が別れており、中国はこうした国々でいち早く臨床試験を行い、人種に関係なくワクチンが安全であることを証明することで、中国産ワクチンを選んでもらえるようアピールしてきたのです。
 
今後、米中間では世界に向けたコロナワクチンの外交競争が繰り広げられることになるでしょう。中国は発展途上国に対し、無償での提供をすでに発表していますが、その見返りにどのようなことが要求されるのかなど見極めていく必要があります。来年から、米中対立にはコロナワクチンという新たな火種が加わることになりそうです。