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中国ワクチン外交、ファーウェイを巡りカナダ政府に圧力か

日本ではあまり報じられなくなった中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者CFO)がカナダで勾留されている事件。人々の記憶から薄れつつある事件ですが、実は新型コロナウイルスのワクチンを巡り、カナダ政府と中国政府の間で政治的な駆け引きが行われていたことが分かりました。
昨年5月、カナダのトルドー首相は中国の医薬メーカー、康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)と共に新型コロナウイルスのワクチン開発を行っていることを発表していました。しかしその数日後、カナダ政府は同社とのワクチン共同開発が中止となったことを発表していました。
今回、カナダ議会による調査によって、ワクチンの共同開発が突然中止となった背景に、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者CFO)の存在があったことが明らかとなったのです。
 
カナダ現地メディア(1月26日付)によると、議会の調査によって、昨年5月19日に中国からカナダに輸送されるはずだったワクチンの研究用サンプル“Ad5-nCoV”が輸送される直前、北京首都国際空港で差し押さえられていたことが判明したと伝えています。
カナダ側は研究用サンプルが中国から輸送できなかったことでワクチン開発が不可能となり、昨年8月にワクチン開発を中止したことを発表していたのです。
 
カナダメディアは、カナダ政府高官の話として、昨年5月にカナダ最高裁が、孟晩舟最高財務責任者CFO)の主張を退け、「米国、カナダ両国で罪に相当する容疑」と判断を下したことに対し、中国政府が対抗措置として、ワクチンのサンプルをカナダに送ることを取りやめたと報じています。
 
中国製コロナワクチンは、不活性化ワクチンであることから、米製ワクチンと比べ、運搬温度にも配慮なく輸出が可能です。中国のワクチン外交については各国メディアで報じられてきましたが、今回の報道が事実であれば各国で政治的な警戒感が高まることになるでしょう。