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中国の死刑制度

世界では現在約140ヶ国が、死刑制度を廃止しており世界的には死刑を廃止して行く流れに傾きつつあります。中国と日本は共に死刑制度が存在する国家ですが、当然ながら中国と日本の死刑制度は大きく異なります。


近年、中国では覚せい剤などの違法薬物の密輸などで逮捕、死刑判決を受ける日本人が増えています。2010年には4名の日本人がいずれも違法薬物の密輸で死刑が執行されました。当時、日本ではあまりにも厳しい中国当局の態度に政府が抗議するなど大きな注目を集めたのです。


中国では死刑判決が下りやすい事件の要素がいくつか挙げられます。
①違法薬物の密輸入
②殺人
③国家機密に関わるスパイ行為
④人身売買
⑤レイプなどの性犯罪


中国は清王朝時代、イギリスとの間で行われたアヘン戦争で敗北し国が大きく疲弊しました。その後、アヘン中毒者が国内にあふれ国の復興に大きな悪影響をもたらした暗い歴史を持っています。中国政府はこうした歴史から、薬物事件には大変厳しい態度で臨んでいるのです。

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《中国では見せしめのため、かつては一部の地域で公開死刑をしていた》


また、近年日本人が中国でスパイ行為を働いた容疑で逮捕される事件が相次いでいます。今年3月、温泉の地質調査をしていた日本人6名がスパイ行為を働いた容疑で逮捕された事件は記憶に新しいと思います。


スパイ行為の最高刑は死刑ですが、民間人であることや、海外の諜報機関との関係性がないことが証明されれば死刑判決が下る可能性はないと考えられます(アメリカメディアはこの7年でCIA要員12名が中国で中国当局によって殺害されたことを報じています)。


スパイ容疑で摘発される日本人の多くは軍港が存在する沿岸部で、カメラ撮影を行っていたことが原因と言われております。中国では国家機密である軍の関係施設などを、カメラに撮られることに非常に敏感になっています。この点は中国に旅行に行く際も注意が必要です。


上記のように中国では、日本と比べ重罪となる基準が大きく異なります。近年、中国の国営放送では死刑囚のドキュメンタリー番組などを積極的に放送するなど、犯罪行為に対する抑止力を高める試みが採られています。

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《中国のテレビで実際に放送された女性死刑囚の最後の1日の取材》


中国人である私も、中国国内での取材活動には慎重です。日々中国大陸で活動する、日本をはじめ各国のジャーナリストの皆さんは、中国の事情をぜひ気に留めて活動してほしいと思います。