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中国で自殺者が相次ぐ違法学生ローン

中国の大学で近年、深刻化している問題をご存知でしょうか。中国語で“校園貸”と呼ばれるいわゆる学生ローンが問題となっているのです。中国の学生ローンですが、日本とは全く事情が異なり日本人からすると理解できないような事件が相次いで発生しているのです。

 


中国では経済成長に比例し、大学への進学率も上昇、その結果2016年には大学進学率が42%と過去最高を記録しました。そうした一方、経済的に苦しい中進学をする学生が多いのも現実で、中国には学生向けの消費者金融が数多く存在しているのです。

 


特に問題となっているのが、管轄当局の認可を得ずに営業している闇金融業者の存在です。こうした違法業者のやり方は非常に悪徳で、特に女子学生への融資の際には、裸の写真と身分証・学生証をスマートフォンで撮影させ、それと引き換えに高利子でお金を融資するのです。返済が遅れた場合、業者はこうした写真や個人情報をネットで販売したり、嫌がらせを行うなど卑劣な報復を行うのです。中国ではこうした違法闇金業者への返済に追われ、自殺する学生が相次いでいるのです。

 

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《女子学生の自殺を報じる中国メディア》 

 


こうした深刻な状況にようやく対策に乗り出す地方政府もあるようです。湖北省は違法学生ローン業者の撲滅に向け、湖北省の銀行や保険会社などを管轄する銀行保険監督局に対し、学生たちが安心してローンを組めるように100億元分(約1600億円)の準備金を用意するよう通達を出したのです。これは中国全国の全学生が一人当たり5000元(約8万円)を借りることが出来る規模の金額となっています。

 


しかし、学生ローンが必要なほど経済的に厳しい生活を送る学生の場合、値上がりする学費や生活費の工面に苦しんでいることが問題の根本的な原因なのです。学生への奨学金制度の充実や、生活支援こそ重要課題として考えなくてはならないのでしょうか。