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食料危機の中国、地方政府でも食品ロス防止条例制定へ

先日もお伝えした通り、中国では習近平国家主席による肝いり政策である「食品ロス禁止令」が全国的に開始され、飲食店などでは食品ロスを減らすため、様々な取り組みが始まっています。
 
中央政府主導で始まった食品ロス禁止令ですが、各地の地方政府では独自に条例を制定するなど、中央政府と足並みを揃えようとする動きも見られています。広東料理でお馴染みの広東省広州市では、「広州市食品ロス防止条例」の制定に向け、今月18日から一般市民に対し、食品ロスに関する意見の募集が行われています。
 
今回の条例ですが、特に大食い動画などを配信してきた配信者に対して、「大食い動画の配信者は法令を遵守すること」「大量の食品を食べるふりをすることを止めること」「故意に食品を吐き出して行う大食い行為を止めること」「暴飲暴食を止めること」など、大食い動画についてかなり細かな行動の制限が明記されることとなりました。
 
中国の大食い動画ですが、卓上に大量の食品を並べ、全て食べているかのように作られていますが、実は編集加工を行いそのように見せているだけなのです。大量に用意した食品の多くは廃棄されてきました。さらに配信者の中には、過激な大食い動画を配信するため、食べた食品をバケツに吐き出しながら大食いを行なう者も少なくないのです。
 
また今回の条例では、大食い動画の配信者に限らず、一般市民に対しても「暴飲暴食を止めること」と、市民の食生活にも釘を刺した形になります。
 
さらに、食品ロス防止に向けた今回の条例は公務員や飲食店にも適用されます。条例では、「公職に就く者が宴席などで食品の浪費を行うことを禁止する(違反者には罰金1000元/日本円約16000円)」「飲食店は客に適切な量の注文を促し、残った食品はテイクアウトにして持ち帰るように案内すること」などと明記されています。
 
料理を残すことが当たり前で文化だった中国ですが、今後そうした悪しき負の風習は姿を消すことになるでしょう。新型コロナウイルスによる食料輸出入の不安定さや、害虫の大量発生、洪水被害によって今まさに中国の食料事情に危機が迫っているのです