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中国火鍋チェーンが類似名称を次々と商標申請へ

“先着順”が大原則の商標登録。自分が創作したものでなくても、商標当局に一番早く申請したものに申請許可が与えられます。このため、商標の創作者と登録者の間でいざこざが起こることも珍しくはありません。今年、新型コロナウイルスの収束を願う象徴的存在となった妖怪“アマビエ”についても同様の問題が起こりました。広告代理店大手・電通が、アマビエを商標登録申請していたことが明らかとなり、誰のものでもない“アマビエ”を独占し、金儲けを企んでいるのではないかと批判を浴びたのです。
 
一方、中国では、特定の商品名やブランド名に全く関係のない企業や個人が先に商標登録申請を行い、のちにその商標権を販売するという商標ビジネスが横行しています。日本にも支店を持つ人気火鍋チェーン海底撈火鍋も、中国国内で同店の名称と極めて類似した「河底撈」という名称が商標登録されてしまい、同社は消費者に誤解を与えかねないとして商標の無効を求め、裁判を起こしていました。しかし結果、海底撈が敗訴。中国国内では、「本家がパクリ企業に負けた」と話題になりました。
 


また過去には日本企業も巻き込まれた商標ビジネス事件も起きてています。
 
 
 
海底撈側は裁判での敗訴を受け、「嗨底撈」、「侮底撈」、「海底佬」、「海撈底」など自社チェーンの店名と類似したありとあらゆる名称の商標登録申請を行っており、その件数は計263件にも及びます。中国メディアによると、他社が類似名称を利用し、模造品などを販売しないようするための対策だといいます。
 
もし、自社製品名やブランド名が何者かによって商標登録されていた場合、一般的に商標登録の無効化申請を行うか、金銭を払い商標を取り戻すかのいずれかとなり、出来ることは限られています。その上、商標登録の無効化が認められるには、その証明が必要となるため膨大な時間が必要であり、金銭での解決においても、数千万円から数億円を要求されることも珍しくありません。
 
中国ではすでに人気アニメ“鬼滅の刃”がタイトル名だけでなく、“炭郎”や“禰豆子”と言ったキャラクター名まで商標申請が行われています。欧米諸国からの指摘によって、知的財産権に関する概念がようやく浸透し始めた中国。商標当局がどのような判断を下すのか注目です。