中国で今も行われる誘拐と人身売買、背景には人口問題
これまで何回かお伝えてしてきた中国の人口問題。高齢者割合の増加、少子化、男女比率の歪みなど、中国にとってこうした人口問題は、国家を揺るがしかねない最大のアキレス腱とも言える大きな課題なのです。
こうした人口問題を背景に、中国では今でも人身売買やそれを目的とした誘拐事件が発生しています。今回中国では人身売買や誘拐を行ってきた犯罪組織が検挙され194名もの関係者が逮捕される事件がありました。今月9日、雲南省保山市(ほざんし)の現地当局が伝えています。
現地メディアによると、地元当局は昨年9月、ベトナム・ラオス・ミャンマーと国境を接している雲南省から頻繁に出入国を繰り返す男の存在に気が付いたと報じています。当局がこの男について捜査を行ったところ、この男は周辺国から若い女性たちを誘拐し、中国に密入国させ、中国国内で売り飛ばしていたことが分かったのです。
犯行には194名が関わっていたとされ、警察は犯人組織が利用していた密入国ルートや、アジト4ヶ所を解明しています。アジトからは、誘拐され密入国させられた女性たちが無理矢理書かされたと見られる中国人との結婚同意書などが発見されています。
中国国内では現在でもこうした人身売買や児童誘拐の事件が頻繁に報じられています。その背景にも、やはり人口問題が関係しています。中国の農村地域や貧困地域の一部では、今でも男尊女卑思想が色濃く残っている地域があります。そのため、男児の誕生が優先された結果、男性の数が女性より3000万人も多い男余り社会となってしまったのです。
男余り社会となった結果、中国では深刻な嫁不足に陥り、特に農村部では跡取りを作るため、こうした人身売買組織に多額の紹介料を支払い、外国籍の女性を斡旋してもらうということが珍しくなくなっているのです。
《中国農村部ではベトナム人花嫁を20万元で斡旋するという広告が数多く貼られている》