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感染拡大を封じ込めた中国、一方で感染者に寄せられる誹謗中傷

新型コロナウイルスの感染拡大が深刻となった今年3月以降、日本では残念な出来事がいくつも起こりました。新型コロナウイルスに感染した人の個人情報を拡散させたり、感染した人や飲食店に対して脅迫状とも受け取れる内容の文書を送付したり、といった嫌がらせが相次いで発生したのです。感染者に対する脅迫行為や嫌がらせは、もちろん犯罪行為であり、許されるべきものではありません。ところが今、中国のネット上では、感染者に対するバッシングがヒートアップし、感染者が釈明に追われるという事件が起こっています。
 
中国メディアによると今月8日、中国のネット上に新型コロナウイルスに感染した女性の個人情報が公開されました。何者かによって掲載されたその情報には、感染が確認された20代の女性の本名や年齢、住所、顔写真、身分証番号などが含まれていたほか、感染経路として、立ち寄った商店やクラブ、職場のバーなどの情報まで記されていといいます。
 
これらの情報は、感染者情報を管理する公的機関から漏洩した可能性が高く、成都市の疾病医療センターや公安当局は調査チームを結成し、個人情報が漏洩した経緯を調査するとしています。
 
こうした中、情報漏洩の被害に遭った女性はネット上で誹謗中傷を受け、自身のSNS上で謝罪と釈明をする事態となってしまいました。
 
 
《感染女性の声明》
 
「報道にもある通り、私は成都市で新型コロナウイルスと確認された者です。今回起こってしまったことを成都市民の皆様に謝罪いたします。私は感染者として感染拡大を防ぐため、防疫部門に自身の行動を報告すると共に、専門の病院で治療も受けていますが、ネット上では私の個人情報が漏洩し、誹謗中傷のコメントが多数寄せられました。不注意で感染してしまっただけなのに、なぜ多くの人がここまで誹謗中傷を行うのか、理解ができません」
 
今回の女性が誹謗中傷を受けた背景には、女性がバーの店員だったこともあるようです。日本でも以前、歌舞伎町などで複数回クラスターが発生すると、ネット上には“夜の街”に従事する人々への誹謗中傷が氾濫ました。
 
中国では現在、新規感染者は毎日1桁〜2桁代に抑えられており、メディアも「感染拡大は食い止められている」と大きく取り上げています。こうしたことから、逆に感染者が目立ってしまい、攻撃の対象となっているのです。
 
誰の身にも起こうる新型コロナウイルスへの感染。その危機が世界的に広がる中、私たち一人一人がもう少し想像力を働かせ、他者を思いやる気持ちを大切にすべきではないでしょうか。