中国の農村で名門大学に合格した青年、全てがウソだった?
間もなく各地で大学の入学式が行われる中国ですが、ある農村で大学入試を巡り大事件が起きてしまったようです。
中国メディアの報道によると、広東省雷州市から40キロほど離れた東平村という農村では、同村出身の若者が中国最難関の清華大学に合格し、大きな話題となっていました。村には至るところに青年の合格を祝う垂れ幕が掲げられ、地元メディアも青年が合格証を手にする写真を掲載し「科挙の時代を含め、この村から難関大学の合格者が出たのは、なんと1000年ぶりだ」と報じるなど、村全体がお祝いムードに湧いていました。
ところがその後、この青年が清華大学に合格していなかったことが判明します。中国の大学入試は、日本のセンター試験に当たる全国統一試験の点数のみで志望大学の合否が決まります。文系・理系の複数の科目を合わせ、満点は750点。一般的に清華大学などの最難関大学に合格するには、約670点が最低ラインと言われています。しかし青年はわずか235点しか採れていませんでした。
青年は家族や村中の期待を背負い、大学入試に挑んだものの、実際には全く歯が立たちませんでした。しかし、周囲の期待の大きさから落ちたことを告白できず、清華大学の合格証を偽造し、あたかも合格したかのように振る舞っていたのです。
しかし、青年はなぜこうした事件を起こしてしまったのでしょう。中国の農村部と都市部では、子供の学習環境に大きな格差があります。塾や予備校のない農村部では、地元の優秀な子供を村全体で支援することも珍しくなく、時には村人たちが学費を出し合うこともあります。それというのも、村出身の子供が名門大学を卒業すれば、将来的に政府の幹部となったり、大企業に就職したりして、村に恩恵をもたらしてくれると信じているからです。
今回事件を起こした青年も、おそらく村中の大きな期待を背負い大学受験に臨んだことでしょう。そのため、名門大学に合格できなかった結果を伝えることが出来ず、合格証偽造という行為に走ってしまったのではないでしょうか。
中国のネット上では今も青年に対する誹謗中傷が数多く投稿されています。しかし、青年の気持ちを考えると、個人的にはとても彼を責める気にはなれません。彼の境遇に同情してしまうのは私だけでしょうか。