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中国南京市で旭日旗が非難の対象に、一方で限定的な報道の背景には?

このため韓国では、日本軍国主義の象徴であると教育されている旭日旗への嫌悪感も強く、似た模様に対しても敏感に反応する人々が少なくありません。
 
そんな旭日旗が今、中国の大学でも大きな話題となっているようです。事件は今月14日、中国南京市にある南京師範大学で発生しました。この日、同校では国際展示会の催しを行なっていましたが、その中の日本文化を紹介するブースで、学生が旭日旗の印刷したものを日本文化の象徴として掲げていたところ、複数の学校関係者から注意を受け、学生が謝罪する事態となったのです。
 
旭日旗がテントに掲げられているのが分かる》
 
今回の出来事がメディアで報じられると、南京師範大学は公式声明として「旭日旗が学校内に掲げられたことは遺憾であり、経緯について調査を行う」と発表。一方の中国メディアは、南京師範大学が学生にしっかりと思想教育を行ってこなかったと厳しく批判しました。また今回の事件については、中国国内のSNS上でも該当学生や大学に対して厳しいコメントが寄せられています。
 
中国南京市は、第二次世界大戦中、日本軍による極めて激しい軍事攻撃が行われ、多くの人命が失われた場所でもあることから、今回の出来事を深刻に捉える人が多かったのです。
 
その一方で、今回の報道は極めて限定的とも言え、国営メディアが大きく報じることはありませんでした。その背景には、アメリカとの対立が熾烈を極める中、政治的・経済的に非常に重要となってきている日本を刺激したくないという思惑があると見られています。
 
かつて日本の統治下にあったという共通の歴史を持つ中国と韓国ですが、歴史問題の認識は中韓で大きく異なります。頻繁に歴史問題を政治的に利用する韓国に対し、中国はこの数年、日本の閣僚の靖国参拝などについて、非難こそするものの、形式的な声明発表に留めてきました。任期制を撤廃し強固な権力基盤を築いた習近平政権は、歴史問題で日本を揺さぶる必要性がそこまでなくなったため、今は日本との関係深化を重視しているのです。
 
このように、旭日旗の扱い一つとっても、中国政治の今を推測することができるのです。そして今、その中国抜きに日本の経済復調は語れません。日中双方が互いを経済の立て直しに利用したいと考えている今、日本の戦略が試されていると言えるでしょう。