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伊藤詩織さん裁判、中国のネットユーザーからも応援の声

フリージャーナリストで映像作家の伊藤詩織さんが2015年、元TBS記者の山口敬之氏に性的暴行を受けたと訴えた事件で、今月18日、東京地方裁判所は山口氏に330万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。今回の判決を受け、欧米の国営メディアや大手メディアも、「日本版MeToo(ミートゥー)運動」の象徴的事件に判決が下ったとして大きく報じています。
 
実は今回の事件、中国ではメディアも一般市民も大きく注目していました。今回、伊藤さんが民事訴訟で勝訴したニュースは、中国版Twitterのウェイボー上でも各メディアが報じており、「伊藤詩織さんの勝訴:勇敢な人の行動で少しづつ世界は変わってきている」と伝えています。
 
《今回の事件をトップニュースで伝える中国メディア》
 
ウェイボー上で「伊藤詩織勝訴」というキーワードがトレンド入りしたことからも、その注目度の高さが窺い知れるでしょう。具体的に中国のネットユーザーからは次のようなコメントが寄せられています。
 
「とても勇敢な行動だと思った。性被害を受けた全ての女性が勇気を持って自分を守ってほしい」
 
「事件発生当初、日本のメディアも世論も彼女に冷たかった。政治系討論番組でも彼女が攻撃されているのを見たことがある。『黒箱(ブラックボックス)』を出版したときも、周囲には彼女のやり方を批判する人が多かったという。彼女の行動は日本を大きく変えた。本当に感銘を覚えた」
 
「伊藤さんがこの4年間で受けたプレッシャーは想像を絶するものだったと思う。日本のネットユーザーからも被害者の伊藤さんを責める言論があった。これから彼女の人生が良いものになってほしい」
 
中国ではこうして長文で伊藤さんの判決にコメントを寄せるネットユーザーがたくさんいました。今回の事件がここまで中国で注目を集めた背景には、中国でも依然、女性の社会的地位の低いという現状があるのではないでしょうか。中国では女性の割合が国会議員で約25%(日本は10%)、企業役員では約9%(日本は1%)と、日本と比較すればかなり高い水準にありますが、世界的に見ればまだまだ相当低い水準です。
 
このように、女性の社会進出が課題として残る中国では、女性に対するセクハラ、マタハラ、性的暴行などの事件が毎日のように報道されていますが、裁判にまで至るケースは稀です。参考記事
 
そうした裁判を起こしたくても、その事実関係を証明するには時間的・経済的・精神的ハードルが高く、泣き寝入りしていた女性も少なくありません。今回の伊藤さんの裁判に中国が大きく注目していたのも、同様の課題が自国にあるからでしょう。
 
日本のネット上では今も伊藤さんに心無い言葉を浴びせる人が多くいます。被害者に対して、「レイプを受けても仕方ない服装だったのではないか」「被害者なのに笑顔を見せたのは不自然だ」「酒を飲みすぎた女性にも非があり被害は仕方がなかった」など、目を疑うような信じられない投稿も後を断ちません。今回の裁判が日本の性被害に対する見方が少しでも変わるきっかけとなることを願うばかりです。